A.K.ライシャワーは、ケネディー大統領在任時の駐日大使で、1961年(昭和36年)から1966年(昭和41年)までの5年間、日本の専門家として日米友好に尽力された人物です。
日本人の妻をもち、日本語を話す大使として大変人気が高かったため、ご存じの方も多いと思います。
このライシャワー駐日大使の生家が、東村山市富士見町にある「明治学院中学校・明治学院東村山高等学校」の敷地内に記念館として残っています。西武国分寺線「小川駅」から徒歩8分のところです。
ライシャワーと明治学院

記念館が紅葉の中に佇む様子は、ここが東村山であることを忘れてしまうほどです。
「心を和ませ安らぐことのできる風景」として「東村山30景」にも選ばれているんですよ

こちらが「明治学院」の正門になります。記念館を見に行くなら、紅葉が美しい今の時期が最もオススメです。
敷地内のため一般公開はされていませんが、今回特別に撮影を許可していただくことができました。

正門から校舎までは長いアプローチが続きますが、その途中の左手にライシャワー記念館はあります。
白い壁とオレンジ色の屋根が印象的な美しい洋館です。
ライシャワー大使の父であるA.K.ライシャワー博士は、1905年(明治38年)、アメリカから宣教師として日本に派遣されました。1930年(昭和5年)に帰国するまでの24年間、港区白金台にある明治学院構内の宣教師館に身を置き、比較宗教学の大家として日本の宗教について深く研究するとともに学院生の教育に当たりました。
1910年(明治43年)、博士夫妻の間に次男として生まれたのが、のちに駐日大使となるE.O.ライシャワーです。彼は16歳までの幼少期をこの宣教師館で過ごし、帰国してオハイオ州オーバリン大学を卒業。その後ハーバード大学の教授に任ぜられ、極東アジア問題の世界的権威となりました。
1965年(昭和40年)、港区白金台の高等学校校舎建築に際し、この宣教師館が取り壊されることに。しかし、当時の学院長の発案で「ライシャワー記念館」として東村山校の地に移築再建されることになったのです。

こちらの写真は記念館の向かいにある「聖書植物園」から撮影したもの。ここからのアングルが一番よいとされているのだと、案内してくださった先生から教えていただきました。

記念館の前には、移転当時の学院長による「ライシャワー館の由来」が記されていました。
『アメリカの長老教会から日本に派遣されたA・K・ライシャワー博士は比較宗教学の碩学で、日本の宗教について深い研究を積んだ。博士は1907年より1930年に至るまでの24年間、港区白金台の明治学院構内宣教師館に居住して学生生徒の訓育に当たった。
1910年に博士夫妻の次男としてこの宣教師館に生まれたのが、エドウイン・O・ライシャワーであり、彼はこの宣教師館において成長し、16歳の時両親と共に帰国するまで、幼少年時代をここに送り、帰国後オハイオ州オバーリン大学を卒業し、ハーバード大学の教授に任ぜられ、極東アジア問題の世界的権威となった。
ハーバード大学在職中、諸要職にあったライシャワー博士は、1961年駐日大使に任ぜられ1966年まで5年間日米の国交のために力を尽くした。
ライシャワー博士は大使として来朝するや微行にて明治学院を訪れ、その誕生の家を眺め礼拝堂の背後に立つ樺の大樹の幹に登り少年時代この樹皮に印刻したEORの文字が樹の成長とともに拡大されて残存しているのをなつかしんだ。
1964年白金台の高等学校の新校舎建築のためこの宣教師館は壊されたので、2年後の1965年東村山のこの地にライシャワー館を復元して建築し、中学生及び高校生のための施設とした。』
散歩がてら外から眺めるだけでも
記念館は公開されていないため、実際は学校の外から眺めることになります。
建物は現在も校長室や会議室等として利用されているんですよ。
建物の中の様子をご覧になりたい方は、「明治学院」のHPでその一部を見ることができます。https://meijigakuin.jp/about/landmark/

「中宿通り」を道なりに左に進むと、右手に記念館を見ることができます。
通り沿いにあるので、建物のつくりを見たり、雰囲気を感じるには十分です。

青空と紅葉に映えるオレンジ色の屋根がとってもステキです。

生垣にはピンクと白のサザンカが咲いていました。撮影をしていたら、「きれいですね。私も思わず撮りましたよ」と、ワンちゃんを連れた方に声をかけられました。
「陸軍少年通信兵学校」と富士見町
ところでみなさん、この明治学院周辺の富士見町1・2丁目に学校がたくさんあるのをご存じですか?朝夕の小川駅と周辺の道路はといえば、制服を着た学生で大賑わいです。
現在この辺りには「明治学院中学校・明治学院東村山高等学校」、「明法学院高等学校」、「日体桜華女子高等学校」さらには「東村山市立第一中学校」と「南台小学校」があります。
なぜこんなに学校が集まっているのでしょう?これには理由があるんです。
16万坪におよぶこの地には、かつて「陸軍少年通信兵学校」(のち東京陸軍少年通信兵学校)という軍事施設がありました。通信技術の発達に対応できる若年層の下士官養成機関として開校し、1942年(昭和17年)に神奈川県から東村山市に移転してきたのです。
試験に合格して全国から集まった15歳前後の少年たちが、モールス信号の送受信や通信機の取扱い等の厳しい訓練を受け、この地で寝食を共にしていました。少年たちは、ここから戦地に赴いて作戦命令や報告を通信したり、東村山のこの地で終戦を迎えたりしたのです。

赤枠内が当時「陸軍少年通信兵学校」のあったおおよその場所になります。
戦後、「東京陸軍少年通信兵学校」の建物は高等逓信講習所や外地引揚者の寮に使用されましたが、後にそれを利用して「東村山中学校」(現在の東村山第一中学校)が開校。その後も跡地に「南台小学校」、「明治学院東村山高等学校」、「明治学院中学校」、「明法学院高等学校」、「日体桜華女子高等学校」などが設置され、現在のような東村山の文教地域となりました。

明治学院の正門を正面にして右手に進むとチャペルがあります。

チャペルの向かいは「南台公園」です。ブランコや滑り台などの遊具もある、比較的広い公園です。この日は紅葉の木の下を子どもたちが走り回っていました。
周辺のお散歩コースをご案内

「ライシャワー記念記念館」を観賞した後は、来た道を少し戻ってみましょう。「中宿通り」の斜め左に野火止用水に沿って遊歩道があります。せっかくなのでもう少し散歩してみましょう。

落ち葉を踏みしめながら野火止用水に沿って進みます。時々自転車に乗った人や犬を連れた人とすれ違いますが、のんびり歩くことができますよ。

水路をのぞくと鯉が泳いでいたり、

カルガモに出会うことも。

しばらくするとジャングルジムとブランコと鉄棒のある「中宿公園」が見えてきます。
この公園から右側は小平市になります。

少し歩くと道路に出ます。
ここからは橋を眺めて歩くのがおすすめです。
まず一つ目は車も通れる「中宿橋」。

そしてここからは、道と家とをつなぐ、個人所有とみられる個性的な橋を見ることができます。
普通の橋もあれば、

板だけだったり、

ガードレールでできていたり。

車は通行止の共有の橋もありました。

このまま野火止用水に沿ってまっすぐ進むと府中街道にぶつかります。お散歩はここまで。
記念館への行き方とイルミネーション
最後に「ライシャワー記念館」への行き方と今の時期だけ見ることのできる、とっておきの情報をお伝えしましょう。
まず、行き方です。最寄り駅は西武国分寺線の「小川駅」になります。

西口を出てしばらく進み、T字路で右折して「富士見通り」を直進。左折して「中宿通り」に入り、そのまままっすぐ進みます。すると、その先の突き当たりに何やら丸いものが見えてきます。

近づいてみると‥なんと巨大なリースです。この奥が「明治学院」になります。
正門は右へ。「ライシャワー記念館」を見るには左に進みます。
手前に見える石橋の欄干は「東京陸軍少年通信兵学校」があった当時のもの。歴史を感じますね。
このリースのあるあたりが通信兵学校の正門だったようです。

リースに近づいてみます。紅葉とリース、美しいですね。昼間もステキですが、夜はどんなにきれいでしょう。
クリスマスに向けてライトアップされました!
待つこと数週間。明治学院のホームページでライトアップされた日を確認。11月末に校内でクリスマスに向けた礼拝と点灯式が行なわれたそうです。(非公開)
さっそくリースを見に行ってきましたよ。
期待通り。宝石をちりばめたような美しいビジュアルで、リースだけでも十分見応えがあります。

構内には入れませんが、アプローチのライトアップと奥にあるクリスマスツリーの電飾も眺めることができました。左奥のライシャワー記念館にも明かりが灯っているのがわかりますね。
記念館は2010年に改修工事が行なわれているのですが、当時の校長先生は、「ライシャワー館ほど多目的に使われた建物はないのではないか」と校報に書かれています。
1965年に記念館が東村山に移転した当初は、保健室、図書館、教室として使用されていましたが、中学校の移転に伴い、今度は中学校寮として使用されるようになりました。その後は音楽室や書道室として使用されたこともあったそうです。

記念館の完成式典に臨席したライシャワー大使は、新館を見てよろこび、「外観は昔と少しも変わらないが、内部は大分ちがっている」と語ったそうですが、こうして今も利用され、学生が行き来する姿を毎日見ることができて、建物も嬉しいのではないでしょうか。
イルミネーションが見られるのは今だけ。
みなさんもお散歩がてら足を運んでみてはいかがですか?
ライシャワー記念館
住所:
東京都東村山市富士見町1-12-3
「明治学院中学校・明治学院東村山高等学校」内
アクセス:西武国分寺線「小川駅」徒歩8分
一般公開はしていませんので、外からご覧になってください。


















